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小話⑫ 双子の油断

Penulis: 三木猫
last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-29 11:14:52

どうして気付けなかったんだろう…。

僕は目の前でぴくりもせず深く眠る妹を見て、拳をきつく握った。

ずれた布団をかけ直して、じっと妹を見る。

恐怖に泣いて、赤くなった目尻。張られたであろう頬の赤み。

お風呂から上がった時に見えた細い手首についた赤い跡。

知らず、僕の瞳からは涙が流れた。

せめて、嗚咽だけは漏らすまいと、下唇を噛んでぐっと堪える。

目の前の葵にばれたくなかったから…。けれど、

「………くっ…」

苦し気な嗚咽。自分が漏らしたのかと思った。

でも、違う。僕は我慢した。なら…誰が…?

ふと顔を上げると、鈴が寝る布団の向こうで、葵が泣いていた。

「…葵……」

名を呼ぶと、顔を上げて僕を見て。僕も泣いていた事を知って…。

「棗……。僕、悔しい、よ…」

「……葵…。うん、僕、も…」

二人で同時に鈴を見た。

守れなかった事が悔しい。悔しくて堪らない。

「守るって、誓ったのに…」

「なんで、僕達は、油断したんだろう……」

油断…。葵の言葉に僕は少し違和感を覚える。

僕達は本当に『油断』していた。それは確かだ。けど…。

「……ねぇ、棗?……僕達、
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